舗装切断作業時の排水処理方法に関する現状を調べてみました(国土交通省編)
「舗装の切断作業時に発生する排水の具体的処理方法」の
エントリーが割と人気
過去、当ブログにて国土交通省(以下国交省)が通知している
「舗装の切断作業時に発生する排水の具体的処理方法」について
ご紹介するエントリーを何度か投稿致しましたが、
当ブログの中では多くの方にご覧頂けているようです。
誠にありがとうございます。
そこで現状を改めて調べてみました。
・・・調べ始めて思ったのですが、情報が多く、一回のエントリーでは
長くなりすぎそうなのでエントリーを分割しようかと思っております。
初回の今回を国交省、次回(以降?)をインターネット上で公式情報が出ている
地方公共団体にする予定です。
以下、または別エントリーにてご紹介する情報が全てという事では
ございません。また、最新性、正確性を弊社が保証するものでも
ございませんので、最終的には国交省や各地方自治体等の
発注主様にご確認くださいますようお願い申し上げます。
国土交通省による通知
事務連絡一覧
国交省では過去のエントリーでもご紹介した通り、3回の事務連絡が
なされています。新しい順にご紹介します。
なお、文書名をクリックすると該当のページに遷移しますので御了承下さい。
- 舗装の切断作業時に発生する排水の具体的処理方法の徹底について (平成28年3月18日付事務連絡)
- 舗装の切断作業時に発生する排水の具体的処理方法について (平成26年1月8日付事務連絡)
- 舗装の切断作業時に発生する排水の処理について (平成24年3月13日付事務連絡)
連絡内容
タイトルを見るだけでも発布する度に文言が強くなっている気がしますが、
とりあえず最新の通告(平成28年版)を確認してみます。(原文ママ)
舗装の切断作業時に発生する排水の具体的処理方法の徹底について
国土交通省-舗装の切断作業時に発生する排水の具体的処理方法の徹底について (平成28年3月18日付事務連絡)
舗装切断作業の際、切断機械から発生するブレード冷却水と切削粉が混じり合った
排水については、「舗装の切断作業時に発生する排水の処理について」(平成 24 年3月
13 日付事務連絡)及び「舗装の切断作業時に発生する排水の具体的処理方法につい
て」(平成 26 年1月8日付事務連絡)により、回収し適正に処理するよう通知してい
るところであるが、回収した当該排水の適正な処理方法について、下記に留意の上、
適切に施工がなされるよう関係者に再周知されたい。
記
平成 26 年1月8日付事務連絡で通知したとおり、回収した当該排水の処理について
は、
・産業廃棄物として、そのまま産業廃棄物処理施設に持ち込む
・施工現場内で脱水等の処理を行い、当該処理後の廃棄物を産業廃棄物処理施設に持
ち込む
こと等により適正に対応されたい。
また、「適正に処理」する際には、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和 45 年
法律第 137 号)に基づき、産業廃棄物の排出事業者(請負業者)が産業廃棄物の処理を
委託する際、排出事業者(請負業者)は、その責任において、適正な処理のために必要
な廃棄物情報(成分や性状等)を把握し処理業者に提供すること」を必要とされており、
その旨を特記仕様書等に明記すること。
さらに、国土交通省以外の者が施工する占用工事等については、適正な処理のために
必要な廃棄物情報が、排出事業者から処理業者に対して適切に提供されるよう、事前協
議の際の指導において徹底すること。
各地方整備局等におけるこれらの取り組み状況について、積極的に地方公共団体に周
知すること。
事務連絡の意味
この事務連絡を掻い摘まんでみますと、以下の通りかと思います。
(※繰り返しますが、解釈の正確性を保証するものではございません。あくまでも弊社の解釈です。)
- 舗装切断作業の際、切断機械から発生するブレード冷却水と切断粉の混ざり合った排水は回収し、
適切に処分する事 - 「適切に処分」の意味する所は以下のとおり
- 産業廃棄物として、そのまま産業廃棄物処分場に持ち込む
- 施工現場内で脱水等の処理を行い、当該処理後の廃棄物を産業廃棄物処理施設に
持ち込む
- また廃棄物処分に際して、発注者と請負業者には以下の責任がある
- 産業廃棄物排出業者(舗装切断請負業者)→請負業者の責任において廃棄物の情報(成分・形状等)を
廃棄物処分業者に伝える - 発注者→上記の対応が必要な旨を特記仕様書に明記する。更にその事を事前協議の際の指導にて
徹底する
- 産業廃棄物排出業者(舗装切断請負業者)→請負業者の責任において廃棄物の情報(成分・形状等)を
- 国土交通省の各地方整備局はこれらの取組を積極的に地方公共団体に周知する
特に第2項の「そのまま」はおそらく「ブレード冷却水及び切断排水の全量」を意味するものと思われます。
なお、当たり前の様に述べられている「(排水の)回収」の意味は平成24年の最初の通達で
以下の様に述べられています。
舗装切断作業の際、切断機械から発生するブレード冷却水と切削粉が混じりあった排水に
舗装の切断作業時に発生する排水の処理について (平成24年3月13日付事務連絡)
ついては、水質汚濁の防止を図る観点から、排水吸引機能を有する切断機械等により回収す
ることとし、回収された排水については、当該作業現場が属する地方公共団体の指導等に基
づき適正な処理を実施されたい。
つまり、舗装(版)の切断作業時に用いるブレード(カッター)冷却水、そして切断粉を含む排水を
吸引(バキューム)する事が「回収」の意味する所です。
先述した通り、国交省の通達内では
「産業廃棄物として、そのまま産業廃棄物処分場に持ち込む」
=「ブレード冷却水と切断粉混じりの排水の全量を産業廃棄物として処理する」
とあるのですが、同時にもう一つ推奨される処理方法があります。
それが
「施工現場内で脱水等の処理を行い、当該処理後の廃棄物を
産業廃棄物処理施設に持ち込む」
です。
これがどういう事かというと、
「施工現場内で冷却水や切断粉から何らかの方法によって
産業廃棄物を分離・脱水した廃棄物のみを産業廃棄物として持ち込む」
という解釈になろうかと思います。
この方法であれば産業廃棄物の量を減らす事も可能そうです。
ただし通達では、「施工現場内で」と書かれておりますので、厳密に言えば
切断作業後即時に、もしくは切断作業と平行して行われる必要があると
言うことになろうかと思います。
そこで弊社の「ミズコシタロウ MTCシリーズ」を
宣伝でスミマセン・・・。しかしまさしくこの為に開発した製品ですので(最初の事務連絡よりも先に作ってました)ご勘弁ください。
ミズコシタロウ MTCシリーズとは
弊社の「ミズコシタロウ MTCシリーズ」では、吸引したブレード冷却水を
ダンプに搭載可能なサイズで御提供する事で、その場にてフィルターろ過し、
ろ過水を再度ブレード冷却水として使って頂こう、というコンセプトの製品です。
更に、MTC-1ではフィルターろ過機能のみですが、MTC-2ではろ過した後の廃棄物を
脱水して汚泥ボックス内に落とす機能も搭載しております。
メリット1: ブレード冷却水をその場でリサイクル
現在の国交省の事務連絡では、バキュームした後の切断排水は
舗装の切断粉を含んで居ることもありそのままでは再利用できず、
請負業者様はほぼ一現場終了毎に拠点に冷却水を取替に
戻らなければならない状態かと思われます。
そこでダンプ・トラックに車載可能なミズコシタロウMTCシリーズを
ご利用頂ければ、回収した冷却水に含まれる切断粉は
その場でフィルターろ過処理を行う為、ろ過水はすぐに冷却水として
繰り返しの再利用が可能です。
そうすることで冷却水を交換に拠点に戻る時間と労力を大幅に減らし、
より多くの現場における切断作業をこなす事も可能となります。
(※本装置では基本的にpH処理は行えないため、冷却水はろ過を繰り返す毎に
アルカリ成分が高くなる事が考えられます。
必要に応じて中和用炭酸ガスボンベを搭載する事は可能です。(炭酸ガスボンベや
そのレギュレーターは御客様によるご用意が必要となります))
メリット2: 脱水処理による産業廃棄物処分(処分費)の軽減
また、脱水機能を用いれば、排水からろ過された切断粉を30%~50%脱水された汚泥として
排出し、汚泥ボックスに集積するので排水全量を廃棄物とするよりも産業廃棄物の量を
減らすことが出来、産業廃棄物処分量、また処分費ともに縮小する事が可能です。
この脱水する機能は、これまでにご紹介した国交省の事務連絡にある
「・施工現場内で脱水等の処理を行い、当該処理後の廃棄物を産業廃棄物処理施設に持
ち込む」
に該当しますので、国交省の事務連絡も遵守出来ている形となります。
メリット3: 薬品を使わないフィルターろ過システム
カッターの切断粉と冷却水を分離する方法として皆様がぱっと思いつかれるのは
PAC(ポリ塩化アルミニウム)をはじめとした凝集剤による凝集・分離ではないかと思います。
実際凝集剤による分離は安価なのですが、カッターやコンクリートの量、成分等による凝集剤の
添加量のスクリーニングを正しく行わずに凝集剤を添加した場合、余分に溶けた凝集剤そのものが
冷却水内のpH等に悪影響を与えかませんし、逆に添加量が不足していれば、当然ですが
十分な凝集効果が得られません。更に、基本的には凝集剤添加後に強い攪拌処理が
必要になる事から、かえって人手が掛かる可能性があります。
ミズコシタロウは内部に搭載してる円形のマイクロフィルターによって切断水をろ過するので
凝集剤等の薬品を使わずに処理が可能で、装置を動かしておけばたいした人手も
かかりません。もちろん、どうしても(追加的に)凝集剤を使いたいといった状況があれば、
凝集剤を添加したあとの切断水をろ過する事も可能です。
注意点
本装置の利用にあたり、廃棄物の種別が変わる(切断粉混じりの排水=廃アルカリ
(廃アルカリと汚泥の混合物)→脱水汚泥=汚泥)処置を本製品にて行っている事から、
使用自治体によっては、移動式の(中間)産業廃棄物処分業等の許可申請が
必要となる場合があるようです。
詳細は各自治体にご確認下さい。
また、本製品は国土交通省新技術提供システム(NETIS)に登録し、V評価を頂戴しておりましたが、
NETISへの登録、掲載期間が終了致しましたので、NETIS登録技術の使用による工事評価点の加点等の
優遇処置を受ける事は出来ません。
施工業者様には長い目で見て大きなメリットのある製品となっておりますので、
是非下記の弊社ウェブサイトへのリンクより製品の詳細をご確認頂き、
不明点等々あればお気軽にお問い合わせ下さい。